カカオバターは、カカオ豆から抽出される植物性の油脂で、主にチョコレート作りに使われます。
カカオ豆を発酵させ、乾燥・焙煎した後に粉砕し、カカオマスを圧搾して取り出されます。
この圧搾工程で得られる油脂がカカオバターであり、残った固形分はココアパウダーとして使用されます。
特徴と風味
- クリーム色で、常温では固体
- 約34度で急速に溶ける
- 独特の香りでチョコレートの風味を引き立てる
- 抗酸化物質を含み、美容や健康に良い影響
主な用途
- チョコレート製造(ホワイトチョコレート、ミルクチョコレート)
- 化粧品(保湿クリーム、リップバーム)
- 料理(焼き菓子、デザート)
- 医療(座薬の基剤)
歴史と由来
カカオバターの歴史は、古代メソアメリカの文明にまで遡ります。
カカオは紀元前3500年頃にはエクアドルで利用され始め、特にマヤ文明やアステカ文明において重要な役割を担いました。
これらの文化では、カカオ豆は通貨としても使用され、王族や貴族の特別な飲み物として重宝されていました。
19世紀に入ると、オランダの化学者クンラート・ヴァン・ホーテンがカカオから脂肪分を分離し、チョコレートパウダーを作る技術を開発しました。
この革新により、ココアパウダーが誕生し、カカオバターの利用が拡大していきます。
1847年には、イギリスの菓子職人ジョセフ・フライが砂糖とカカオバターを組み合わせて、初めて固形チョコレートを作り出しました。
これが「食べるチョコレート」の起源となり、チョコレート製品の多様化が進むきっかけとなりました。
保存と楽しみ方
- 高温多湿を避け、15〜28℃で保存
- 直射日光の当たらない冷暗所が最適
- 開封後は早めに使用
使用時のポイント
- 温度管理が重要
- テンパリング技術を理解
- 衛生管理に注意