カカオマスは、カカオ豆の胚乳部分をすりつぶして作られるペースト状の素材で、チョコレートの主要な原料です。
カカオ豆を焙煎し、外皮を除去した後に粉砕することで生成されます。
その際、カカオ豆に含まれる約50〜57%のココアバターが溶け出し、滑らかなペースト状になります。
このペーストは、冷却されると固形化し、お菓子作りの材料として幅広く使用されています。
特徴と風味
- 苦味と風味: 非常に苦い味わいが特徴で、カカオ豆本来の風味をそのまま感じることができます。
- 栄養価: ポリフェノールや食物繊維、ミネラルが豊富で、美容や健康に良い影響を与えます。
- 香ばしさ: ローストされた豆から得られる香ばしい香りが特徴です。
- フルーティーさ: 一部の高品質なカカオマスでは、フルーツのような香りも感じられます。
主な用途
- チョコレート製造: ダークチョコレート、ミルクチョコレートなどの基本材料
- 菓子類への利用: 生チョコやトリュフ、クッキーなどの製菓材料
- 健康食品としての利用: 栄養価の高いスナックやプロテインバー
- 飲料への応用: ホットチョコレートなどの飲料
歴史と由来
カカオマスの起源は、紀元前3500年頃のエクアドルにまで遡ります。
その後、メソアメリカ地域でカカオの栽培が広まり、オルメカ文明がカカオの利用を始めたとされています。
アステカやマヤ文明では、カカオ豆は通貨として使われ、また神聖な飲み物として重要視されていました。
16世紀、スペインの探検家たちがカカオ豆をヨーロッパに持ち帰ると、貴族たちの間で急速に人気が高まりました。
19世紀に入ると、オランダの化学者クンラート・ヴァン・ホーテンが、カカオから脂肪分を分離する技術を開発し、これが飲料から固形チョコレートへの発展を促しました。
保存と楽しみ方
- 温度管理: 理想的な保存温度は15〜20℃。直射日光を避け、湿度の低い場所で保管。
- 密閉容器の使用: 香りや湿気から守るために密閉できる容器を使用。
- テイスティング: 小さくカットして舌の上で転がしながら溶かす。
使用時のポイント
- 温度管理: 湯せんを用いて均一に加熱し、テンパリング技術を使用。
- 配合比率の調整: カカオマスと他の材料の比率を調整。
- 品質の選定: 添加物や人工甘味料が含まれていない質の高いカカオマスを選ぶ。