パティスリーのショーケースに並ぶ定番スイーツ、シュークリーム。
その愛らしい丸い形と、クリームの滑らかさは、世界中の人々を魅了し続けています。
フランス語で「シュー・ア・ラ・クレーム(Choux à la Crème)」と呼ばれるこのお菓子は、軽やかな生地とリッチなクリームの絶妙なハーモニーが特徴です。
一口かじれば、サクッとした生地の食感とともに、なめらかなクリームが口いっぱいに広がります。
その瞬間、甘さと軽さが絶妙なバランスで調和し、幸せな気分に包まれることでしょう。
シュークリームの歴史
シュークリームの歴史は、16世紀のイタリアにまでさかのぼります。
フィレンツェ出身の料理人カトリーヌ・ド・メディシスが、フランス王アンリ2世との結婚に際してフランスに持ち込んだとされています。
当初は「シュー」と呼ばれる生地だけの菓子でした。フ
ランス語で「キャベツ」を意味する「chou」から名付けられたと言われており、これは焼き上がった生地の形状がキャベツに似ていることに由来しています。
17世紀になると、有名なパティシエであるアヴィスが、この生地を改良し、現在のシュー生地の原型を作り出しました。
しかし、この時点ではまだクリームは入っていませんでした。
シュー生地にクリームを詰めるアイデアが生まれたのは19世紀初頭のこと。
パリの有名なレストラン「カフェ・ド・パリ」のシェフ、アントナン・カレームによって考案されたとされています。
彼は、シュー生地の中にパティシエール(カスタードクリーム)を詰め、「シュー・ア・ラ・クレーム」として提供しました。
その後、シュークリームは瞬く間にフランス全土で人気を博し、19世紀後半には日本を含む世界中に広まりました。
現在では、様々なバリエーションが存在し、世界中で愛される定番スイーツとなっています。
シュークリームの特徴
シュークリームの最大の特徴は、軽やかなシュー生地と滑らかなクリームのコントラストにあります。
通常、丸い球形または楕円形をしています。
表面はきつね色に焼き上げられ、つやがあり、時には粉砂糖がかけられています。
大きさは様々で、一口サイズのプチシューから、大きめのものまであります。
シュー生地は、「パータ・シュー」と呼ばれる特殊な生地で作られます。
外側はサクッとしていて、内側は中空になっています。この独特の構造が、クリームを詰めるのに理想的な器となります。
一般的には、バニラ風味のパティシエール(カスタードクリーム)が使用されますが、生クリームや様々なフレーバーのクリームが用いられることもあります。
クリームは、シュー生地の中に絞り込まれ、たっぷりと詰められています。
シュークリームの魅力は、そのテクスチャーのコントラストにあります。
外側のサクサクとした食感と、中のなめらかなクリームが口の中で絶妙に調和します。
バニラの香りが特徴的ですが、シュー生地自体にもバターの風味があり、全体として豊かな味わいを生み出しています。
甘さは控えめで、老若男女問わず楽しめるバランスになっています。
基本的なバニラクリーム以外にも、チョコレート、抹茶、フルーツなど、様々なフレーバーのシュークリームが存在します。
また、表面にチョコレートやキャラメルをかけたものも人気です。
通常は常温または冷蔵で提供されます。フランスでは「ルリジューズ」という、チョコレートでコーティングされたシュークリームも人気です。
シュークリームの原材料
シュークリームの主な原材料は以下のとおりです。
シュー生地(パータ・シュー) | 水 |
バター | |
小麦粉 | |
卵 | |
塩 | |
クリーム | 牛乳 |
卵黄 | |
砂糖 | |
コーンスターチまたは小麦粉 | |
バニラ |
シュー生地の作り方は独特で、水とバターを煮立て、そこに小麦粉を一気に加えて練り上げます。
その後、卵を少しずつ加えて滑らかな生地を作ります。この方法により、焼いたときに中が空洞になる特徴的な構造が生まれます。
クリームは、牛乳を温め、別に混ぜ合わせた卵黄、砂糖、コーンスターチを加えてとろみがつくまで加熱します。
最後にバニラを加えて風味を付けます。
シュー生地を絞り出して焼き、冷ました後にクリームを詰めて完成します。
シュークリーム作りの難しさは、シュー生地の焼き加減とクリームの濃度のバランスにあります。
完璧なシュークリームは、生地がしっかりと膨らみ、クリームがなめらかで適度な甘さを持っていることが求められます。
プロのパティシエでも、一貫して理想的なシュークリームを作り出すには熟練の技が必要とされています。