生菓子

スフォリアテッラ

イタリア・ナポリ地方が誇る伝統的なペストリーがスフォリアテッラ

その特徴的な貝殻のような形状と、幾重にも重なる薄いペイストリー生地は、見るだけでも食欲をそそります。

噛みしめるたびに広がるサクサクとした食感と、リコッタチーズベースの甘い餡のハーモニーは、まさに至福の味わい。

スフォリアテッラは単なるデザートではなく、ナポリの歴史と文化が凝縮された一品なのです。

スフォリアテッラ イタリアのお菓子

スフォリアテッラの歴史

スフォリアテッラの起源は、18世紀初頭のナポリ近郊、アマルフィ海岸のサンタ・ローザ修道院にまで遡ります。

伝説によると、ある修道女が残り物の食材を使って、薄い生地を幾重にも重ね、その中にリコッタチーズとフルーツを詰めた菓子を作ったのが始まりとされています。

この菓子は当初「サンタローザ」と呼ばれ、修道院の外でも人気を博すようになりました。

19世紀初頭、ナポリの菓子職人パスクアーレ・ピンタウロが、この菓子にインスピレーションを受け、形を簡略化し、現在のスフォリアテッラの原型を作り出しました。

「スフォリアテッラ」という名前は、イタリア語で「小さな薄い層」を意味する「sfoglia」に由来しています。

これは、この菓子の特徴的な層状の生地を表現しています。

19世紀後半から20世紀にかけて、スフォリアテッラはナポリの象徴的なデザートとして確立し、イタリア全土、そして世界中に広まっていきました。

特に、イタリアからアメリカへの移民と共に渡った後、ニューヨークなどの大都市でも人気を博すようになりました。

現在では、伝統的なレシピを守り続ける老舗から、新しいフレーバーや形状を試みる革新的な店まで、様々なスフォリアテッラを楽しむことができます。

スフォリアテッラの特徴

スフォリアテッラの最大の特徴は、その独特の形状と、多層構造の生地にあります。

外観は貝殻や扇のような形をしており、幾重にも重なった薄い生地が特徴的です。

生地は、バターを折り込んで何度も伸ばし、折りたたむことで作られます。

この過程により、焼き上げた時に幾層もの薄いレイヤーが形成され、サクサクとした食感を生み出します。

中身は、通常リコッタチーズをベースにした甘い餡が使われます。この餡には、セモリナ、卵、砂糖、フルーツなどが加えられ、豊かな風味を作り出します。


スフォリアテッラには主に2つのタイプがあります。

  • スフォリアテッラ・リッチャ(Sfogliatella riccia):伝統的な貝殻状の形をしており、層状の生地が特徴的。
  • スフォリアテッラ・フローラ(Sfogliatella frolla):より単純な形状で、外側がショートクラストペストリーでできている。

食べる際は、外側のサクサクとした食感と、中身のなめらかさが口の中で絶妙なバランスを生み出します。

リコッタチーズの爽やかな風味と、適度な甘さが特徴的で、コーヒーや食後酒との相性も抜群です。

季節や地域によってバリエーションがあり、例えばカーニバルの時期には特別なレシピで作られることもあります。

また、近年ではチョコレートやピスタチオなど、新しいフレーバーのスフォリアテッラも登場しています。

スフォリアテッラの原材料

スフォリアテッラの主な原材料は以下のとおりです。

生地用 強力粉
 
 
  バター
餡用 リコッタチーズ
  セモリナ湖
  砂糖
 
  バニラエッセンス
  シナモン
  カンディフルーツ
仕上げ用 粉砂糖

原材料の質、特にリコッタチーズの新鮮さと、使用するバターの品質が、最終的な味を大きく左右します。

ナポリでは、水牛のミルクから作られたリコッタを使用することもあり、これが特別な風味を生み出します。

また、近年では乳製品アレルギーの人向けに、植物性の材料を使用した代替バージョンも登場していますが、伝統的なレシピを重視する人々にとっては、本物のスフォリアテッラは上記の材料で作られたものを指します。

生地を何層にも重ねる技術と、餡の風味のバランスが、美味しいスフォリアテッラを作る上で最も重要なポイントとなります。

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